Sun Ship Meets Guevara in Tottori

Released in 2011

情熱と熱情の邂逅
双管の咆哮 響鳴する打音
山陰路鳥取における感性の奏

収録曲
1. Mother’s Day (by S.Murakami) 15:36
2. Troll (by T.Namiki) 12:57
3. Go Back To My Country (S.Murakami) 19:41
4. Tomorrow (S.Murakami) 13:31

収録日
2011.8.21.鳥取市「川一銀座倶楽部」にてライブ収録

並木 崇(Takashi Namiki)TS
川崎 聡(Satoshi Kawasaki)B
村上 俊二(Shunji Murakami) P
北村 和重(kazusige kitamura)D
ゲバラ武信雄次(Guevara Yuji Takenobu) AS
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ライナーノーツより

サンシップのこと ゲバラのこと

自分らしさの源なっているもの、自分の心の核とでも言うべきものが有るのだと思う。 アドリブとは昨年でも、昨日でも、先刻でもない今の自分を、音楽という表現手段を使って語り切ることに他ならない。ジャズとは自分を突き動かしているの心の核の表出であると同時に、共演者との心の響き合いなのだと思う。そして、この核をより強く輝かせる為の研鑽は、自分の音楽をより輝かせることに通じるのだと思う。リリシズムの超克からエモーショナルな音楽性を獲得したサンシップを聴いていると、強くそう感じる。

「凄いバンドがあるぞ!」 2007年初夏。足利市のジャズ喫茶「オーネット」でSun Ship を聴いた息子が、そう言って電話してきた。この電話で私は Sun Shipの存在を初めて知った。彼等のCD 「Hot Waltz」の存在を友人ゲバラにも知らせ、「Live at Porsche」 (このCDは現在入手困難) も購入した。このCDの持つ叙情性は、彼等のひたむきなジャズへの取り組みと借り物でない叙情の真実性ゆえに、より深いエモーションに昇華するに違いないと感じさせた。久し振りに私の日常を撃ち抜くジャズに出合った。変革の行き先を見届けたいジャズグループを見付けた。2008年今治公演の翌日に鳥取ライヴが実現した。Sun Shipには、この今治→鳥取ルートを快く了承して頂き、この年以来、毎年8月にこのルートでの鳥取ライヴが開催されることになった。ゲバラは2008年鳥取ライヴ後のセッションに参加したが、これがSun Shipと彼との初めての共演だった。

ゲバラについてというインタビューに村上さんは次のように答えてくれた。「鳥取で Sun Ship の初ライブのセッションで初めて彼のサックスを聞いた時は、生でジョージ・アダムスを聞いた時以来の大きな衝撃でした。」「彼は、さっきまでSun Shipのライブに聞き入っていて、こんなすごい人が自分たちの音楽を真剣に受け止めてくれていたのかと思うと、非常に難い気持ちになりました。そして、すぐ、彼は僕らの仲間だと確信しました。」「その後鳥取でのセッションを重ねるうち、一緒に何らかの活動がしたいという思いから、東京、足利、神奈川などでSun Ship のゲストでの出演をお願いすることとなり、それが今回のCDの制作へと実を結ぶことになりました。」「彼のサックスは、いわゆるフリージャズ系のスタイルで、すごい爆発力、あるいは、バラードでの静かな祈りのような表現、いつも持情性に溢れているのですが、静かな表現はもちろん、フリーキーでアグレッシブな表現においても、人の心を癒す何かがあります。そこが僕は大好きです。」
ゲバラは 21歳でアルトサックスを吹き始め、それ以後、人生の順調な時も逆境の時も、
常に魂の今を吹き続けている。あらゆる事象を、何からも自由に、自らの知性と感性で濾過してから語り行動するその生き方が、彼の豊かな人間性を形成しており、彼の生き方そのものとしてアルトサックスから送るように出てくる音は、例えば憤りにおいても喜びにおいても悲哀においても、真にラディカルな愛にあふれている。
最後に、Sun Ship についての概要をHPから抜粋します。
「Sun Shipは4名で構成されるノーリーダーバンド。結成の背景には東京商船大学(現在は東京海洋大学)ジャズ研究会の存在が欠かせない。当時、同ジャズ研に現役学生として所属していた北村和重(ds) 始め、そのOBであった並木崇(ts, ss)、川崎聡(b)他、熱意あふれ集う大勢の若手ジャズマンが大学や年齢の枠を超えて部室に通いつめ切磋琢廃し、それぞれが以降多くのパンドを輩出していくのだが、その中で1997年に派生したのがSunShipである。敬愛するコルトレーンの曲名をそのままに、活動を開始。曲はほとんどがオリジナルで、楽曲の良さ、情感の深さ、メッセージ性の強さ等が特徴と言われる。活動拠点は東京に置き、新潟ジャズストリート、今治ジャズタウンなどのイベント他、日本各地でライヴを展開中。」
(2011年9月 古瀬惇夫)

 

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